沖に流されてから

虚構織り交ぜています

しおり

画塾の同級生が、立派に卒業制作をつくり、就職していく。SNSのフィードに上がってくる彼らの近況をみると、忘れていた気持ちが首をもたげる。胸がきゅうっと苦しくなって、そっと画面を閉じてしまう。

  

 

「高校を卒業して、美大に行く私」になりたかった。そこにさえ入れたら、ともに制作に励み議論を交わし、一生続くような友人が出来ると思っていた。当時好きだった人の影響も多分にあるけれど、でもそんなの、美大に限られた話ではなかったのだと気づくのは後になってから。文学でも哲学でも物理でも、共通する何らかの言語とそれへの熱量があればいい。寝食忘れる程、絵を描くのが好きなわけでもなかったことが悔しくて、それは自分にとって褒められる為のツールでしかなかった。

 

受験当時の衝動はすっかり消えているのに、未練がましい憧れだけが、抜け殻みたいに残っている。今書かずにはおれないこの寂しさを、これからも節目節目で繰り返して、時々反芻して噛みしめながら、いつか消化していくのだろうなあ。