メランコリック パルファム
JPDA 日本パッケージデザイン大賞2011の展示期間中に開催された、
資生堂のCD・信藤洋二さんの公開講座のメモ。
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「商品をして、全てを語らしめよ」
約140年の歴史
創業者フクハラシンゾウは経営者としても手腕をふるったが、写真家としても活動。
経営と美術を媒介した。
フクハラシンゾウのデザイン観 「生命・自然・日本」を大切に
当初タカの絵が使われていたが、化粧品に相応しいエレガンスなCIとして1915年に椿となる。
商品の「花椿香油」が人気であったことに由来。
【ロゴマーク】
アールヌーヴォー風/八角形は椿をモチーフにしている。女性的な優しさと強さを可視化。
同じように見えても、年々マイナーチェンジしている。
(資生堂グループ企業情報サイトから)
当時から中身の研究と同等にデザインについて考えていた。
広告は「実際の商品を過大に宣伝するもの」と捉えられていたため、商品の本質的な意匠についての部「意匠部」で広告・デザインを作っていた。
【資生堂フォント】
当時から今も手書きで統一し、書体はデータ化していない。
新人デザイナーはまず手書きで書体の練習をする。
この練習によって文字全体のバランスや細部までの気配りを学び、共通の美意識を得るとのこと。
“書き写すだけでなくよく見ること。法則を学んだ後に書き手の個性を大切に”
【七色粉白粉】
着色福原粉白粉七種(七色粉白粉)
1917年(大正6年)
(資生堂グループ企業情報サイトから)
大正時代、円形or四角形が大多数であったパッケージに対して当時八角形のパッケージを出した。
アールヌーヴォーとアールデコ(機能美)の融合。
【オイデルミン】
当時の広告デザインが西洋化していなかったにも関わらず、商品自体のデザインがとても優れている。
オイデルミン化粧水の赤い色は生命にも通じるのではないか。
1897~1997の100年間、オイデルミンのデザインは変化し続けた。
オイデルミン グローバル 1997(平成9年)
(資生堂グループ企業情報サイトから)
フランス人が大胆にディレクションしなおしたデザインは赤色・丸いキャップの形を継承しながらも、モダンなデザインにするため本体を四角く薄く、縦長にし文字配置も縦にしている。
【唐草模様】
資生堂は唐草によって抽象的な女性美を表す。目で触れる流線/心地いい流線。
ドルックスシリーズに唐草模様の工夫が見られる。
ドルックス
1932年(昭和7年)
(資生堂グループ企業情報サイトから)
【唐草オードパルファム】
スイカズラの複雑に絡み合う生命感を使ってデザイン。
高度成長期に社内では唐草模様が衰退したが、結局原点回帰で唐草デザインが戻ってきた。
【水の香 2010】
(これが受賞したデザイン、株主限定香水!)
「万物資生」をコンセプトに大地の水を表現。
美しい水のイメージを表すために、清流に咲き、芳しい香りのバイカモをモチーフに。
パッケージの表面にメタリックな模様、内側に青い色をつけることで水らしさを出した。
デザイナーとしてキレイにまとめようとすると逆に悪くなったりする。
柄が命なら強く見せても美しい柄にしなければならない。
薄くしなきゃいけないような柄は、柄自体がダメ。
【花椿鏡】
祭事の道具として使われていた鏡に唐草模様が使われていたことから出来たデザイン。
水面に自分を映す神秘体験が鏡のもとにあるのではないか。
電気鋳造により繊細なデザインを可能に。
模様を引き立たせるために白と黒の二色にした。
見た目はアンティークなのに持つと軽い今風の設計(表面は真鍮だが外枠はアルミ)。
「時代を遡りながらの前進」
直線ではない進化、特にドルックスシリーズに見られるもの。
デザイナーは日々新しいものを作り出すけど、時代を遡りながら前進する。
生み出す事自体はデザインの一面で、過去の物も大切なデザインの歴史。
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