沖に流されてから

虚構織り交ぜています

黒蜥蜴

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三輪明宏(当時:丸山明宏)主演の「黒蜥蜴」(原作:江戸川乱歩 脚本:三島由紀夫)を観た。
江戸川乱歩の原作は、探偵明智小五郎と女賊黒蜥蜴が対決する怪奇小説、らしいが、映画は三島さんの演出によって耽美で妖艶なものだった。私はこちらのほうが好き。
何より、三輪さん演じる黒蜥蜴(緑川夫人)が本当に美しい。三島さんが惚れ込んだのもわかる美貌と妖艶さ。目線の流しかた、佇まい、女より魅力的というか性別を超越してみえる。この作品は三輪さんのためにあるようなもの。

監督は
深作欣二。映画全体に漂っているB級のチープさが嫌なかんじではなくて、そうなるべくしてなった愛すべきものになっている。鮮やかな色がおもちゃ箱のよう。黒蜥蜴が求める「エジプトの星(宝石)」の安っぽさといったら!

面白かったのは、三島さんがこの映画への特別出演を承諾する条件が「丸山明宏と接吻させてくれるなら出てもいいよ」だったこと。原作にはなかったシーンを盛り込んで、三島さんは黒蜥蜴に剥製にされた死体役として、三輪さん扮する黒蜥蜴からのキスを受けていた。