沖に流されてから

虚構織り交ぜています

エディット・ピアフ讃

音楽理論を知っていれば、マイナースケールにして、この旋律をいれると物悲しくなるよ、などと言えるだろうが私はいつもわかってない。旋回するメロディーが切なく心地よいので、最近よく聴くプーランクの「15の即興曲 15 エディット・ピアフ讃」
 
リストを再生していたら、ピアフの歌に合わせて、ひたすらおじいちゃんが指揮する様子を映した動画が混ざっていた。おそらく自分自身で撮っているのだろう。自己顕示の形はいろいろだな。
自己受容しながら、承認欲求を上手く扱いたい。
 
 

感性のフタ

去年からバイトをはじめたお店は、客単価も高く大混雑するようなお店ではないので、暇なときは本当に手持ち無沙汰、店内をぐるぐる回るほかない。小ぶりな売り場は10歩ほどで一周できてしまう。ふらっと外に出るわけにもいかず、何度も同じように歩いてばかりいる様子は、動物園で展示されているライオンやクマのようだと思う。
 
一昨日館内全体の従業員研修があった。これまでも何度か開催されていたけど働き出して1年3ヶ月ではじめて受けた。講師はいつもご夫婦で販売指導、コンサルをしている方で、奥さんはお洒落なカラーアイラッシュをつけていた。研修がはじまってすぐ、「感じた事、想起した事を一言添えて、となりに花をまわしてください」とカーネーションの造花を渡された。それぞれ「きれい」「母の日」「やさしい色」「すてきな香り」と言葉を探して、花をまわす。そうすると意外に言葉は出てくるもので、これまでの経験や知識から、花を目にするといろんな事が頭に浮かんでいるのだ。しかし店先にあるカーネーションをみて、いつもいつも「素敵ね」「いい香り」とは声にださない。頭の中でショートカット機能がはたらくようになると、いざ感じた事を言葉にしようと思ってもできないのだそうだ。
アパレルだと季節感や色味、気分を考えながら接客をするからか言葉も出やすいが、飲食の従業員研修を行うと、「花」「ピンク」以外のキーワードがなかなか出てこないらしい。感性がないのではなく、あるはずの感性のフタが閉じられている。
 
今期一回目の研修は、ファーストアプローチについての話だった。今よく見受けられる接客(販売)スタイルは、「いらっしゃいませ」等の声がけのあと暫く店内を泳がせ、頃合を見計らって急に商品情報を伝え売り込んでいくというものだそうだ。確かに、いかに商材を売るか、を考えて接客してしまうし、される事も多い。講師の方曰く、現場で接客スタイルを指導するのが、購入層と離れた立場の中年男性であることが良くないらしい。実際に商品を検討し購入する女性たち(年齢問わず)は、買い物によって得られる豊かな気分をも求めているのに、指導する男性達は、売ろうという意識をぶつける接客方法を教えてしまう、この古い方法から一段階上の接客スキルを身につけましょう、という趣旨だった。(男性、女性、で一つ括りにして傾向を話してしまうのは好きじゃないんだけど、性差は確実にあるよね)
 
心を掴むフレーズ、を入店時の声かけにプラスしていくことで、心地のいいカジュアルな接客ができる。まず「今日この店で、買い物を楽しむ気分」をつくってから(これが難しい)商品のアプローチにうつると、会話のキャッチボールが成り立ちやすくなるのだ。ちょうど雨が降っている日だったので、憂鬱なイメージを持ちがちな「雨の日の買い物」をポジティブに捉えた一言を考えることになった。
 
「今日は雨ですね」
・映画をみるのもいいですね
・素敵な傘やながぐつを使える日ですね
・紫陽花がみずみずしいですね
・四季が楽しめるのって素敵ですよね
・スポーツクラブにいくのもいいですね
・虹がでるかもしれませんね
 
等々、買い物に関係のないことでも一言添えるだけで、来店者の感性のフタを開けることにつながる。実際の接客で、こんなこというかしら、とは思うけど、こういう一言が不意に心の中にあるもの(記憶や感覚)を刺激し、広げてくれるのは確かだ。また、雨の日には気分を変える事も工夫の一つで、店内の香りを変えてみたり、飲食であればスパイスの効いたものを出してみたりするといいらしい。

オペラント条件付け

心理学を専攻している友達が、オペラント条件づけに基づいて彼氏に禁煙させていた。教育現場でも使われる手法らしく、私も小学生の頃先生に、漢字ドリルを綺麗に書いたらシールを貼ってもらっていた事がある。褒められなければ手を抜いていたのに、シールをもらえるなら(シールは表紙に貼られたので、生徒同士でなんとなく数を競い合う雰囲気になっていた)努力するって、可愛げがあったともいえる。

 

スキナー箱では動物を用いるけれど、実際に子育てに応用するとこういう感じ。

 
 
子どもがハブラシを手にとってブラッシングする→ブラッシングを終えた直後に、母親が子を褒めて手帳にシールを貼ってあげる→その結果ブラッシングをする自発頻度が増大すれば、ハブラシ(刺激)→ブラッシング(行動)→褒め言葉・シール(正の強化刺激)という随伴性が形成されたことになる。そのうちシールが無くなっても、ブラッシング自体が楽しい行動になってくるらしい。
 

友達の彼氏も手帳とシールを渡されて、今日一日禁煙できたらシールを貼る、という生活をしているそうです。シールを貼ると、努力の結果を目で見て確認することが出来るし、何日間禁煙できたら、これしようあれしよう、と考えをめぐらすのも楽しそう。
 
副流煙が平気とはいえ、自分にとって喫煙するメリットがないので今後も手に取る事はまずないと思います。だけど友人や家族、彼氏が喫煙者の場合、本人に明らかな体調不良がでない限り禁煙しようよ!とは言えないだろうなあ(友達も、無理に禁煙させているわけではないです)。友人たちと話していると、人によって付き合い方は本当に様々だなと毎度思う。喫煙に限らず、人の生活習慣や行動に口出しをしないし、毎晩誰かと1時間も電話をする生活は考えられない。
 

薬指の標本

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映画.comより)

薬指の標本」を観た。2004年の作品。

 

結末や詳細は匂わすだけに留めていて、雰囲気漂う映画でした。海辺であったり古い浴場であったり、水がよくでてくる湿度の高いシーンが多かった。お国柄なのか、フランス映画って色恋とか交わる場面が多くないですか、というよりそこに至るまでがはやいのかもしれない(私がお堅いのかもしれない)。 ヒロインが博士と会い、靴をもらい、関係をもって、嫉妬を顕にするまでに半年ぐらい経ったかしらと思っていたら「まだここに来て3週間だったのね」という老女の台詞がでてくる。老女と一緒に、3週間でこんなに心捕らわれるのか!と驚いた(これはきっと話の要になる靴の影響を受けて、ではあるけど)。後半に麻雀牌をラボに持ってくる中国人の描写に、「とりあえず手を合わせてお辞儀するんじゃない?」みたいな雑さを感じて、ちょっと可笑しかった。ハリウッド映画の中で時々、日本のイメージがパラレルワールドじゃないかってくらいぶっ飛んでいるみたいに。

一番満足だったのはオルガ・キュリレンコの衣装が素敵だったことです。ごてごてしていないけど程よく色があっていい。何事もすこし控えめで丁度いいバランスが取れているものがいいわ。衣装担当のパスカリーヌ・シャバンヌはフランソワ・オゾンの作品衣装をよく手がけているみたいで、「しあわせの雨傘」「まぼろし」をウィッシュ・リストに追加した。

七味五悦三会

「七味五悦三会」。
その年に食べた美味しい料理を七つ。楽しかった出来事を五つ、会えてよかった人を三人あげる事が出来たら、その年は良い年だったねと言って暮れるという江戸の風習だそう。
 
腸炎で一週間も布団の中だったので、去年の「七味五悦三会」を考えた。
 
七味
GODIVAのリキュール
・社長にいただいた八海山
・トマトのカクテル
・MYRAのチョコレート(http://www.myra.jp/
・店長がくれたうさぎメロンパン
パストラミと卵のサンド 他
あんまり喉を通らなかったけど、連れて行ってもらった、伏見のパスタもすごく美味しかった
 
五悦
・振袖を着た事
・アート町家ステイ(http://www.art-kyomachiya.com/
・ART KYOTOのレセプション
・初めて実売につながった日
・実習後の打ち上げ 他
 
三会
・**の社員Tさん(誰だっけ)
・店長の三好さん
・実習先の男の子
 
実習でメンタルが腑抜けてしまったので、今年は成功体験を重ねて「根拠のない自信」を取り戻すぞ。
自分に自信が持てないとうまく発話できないし堂々としていられない。
もたいまさこさんについて『ネイチャー思考のおしゃれババアね。おしゃれオーラを放って、容姿については言及させないわよ。』と紹介している文章が良い(引用であってもババアと書くのは気が引けるが)
この紹介文と近しい立ち位置を目指して、教養のあるお嬢さん気取りで行きたい。

パルプフィクション

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映画.comより)

時系列の組み方が面白いオムニバス映画。
「ロックストック…」のテンポ(でもあのスピード感はセリフの応酬によるもの?四文字英語のオンパレード)に比べると、ちょっと長く感じてしまう気がする。「ソード・フィッシュ」でのスカした役よりも、こっちのジョン・トラボルタのキャラが魅力的で、ユマ・サーマンとのやり取りが可愛かった。
「5ドルのシェイクは高いよ」とか。ツイストを躍らせたのも「サタデー・ナイト・フィーバー」を踏まえてなのだろうか。まさかこの後にあんなあっけない死を迎えるとは思わなかった。
 
おかっぱで言えば、「TIME」のアマンダ・セイフライドも可愛い。「レ・ミゼラブル」のヒロイン役です。髪型や役柄でごろっと雰囲気が変わる。
 
 
雰囲気が変わるどころか特殊メイクを施したのが「ヘア・スプレー」でのジョン・トラボルタ。すごいサイズの女優やな・・・と思っていたけど、これは特殊メイクだったのね。各映画の中での、役者の見栄えの変わりように目がいく。

教育実習のその後

自己否定感が強くなりすぎると、こんなに辛いものかと知った9月。
うつ病って結局のところ意思の弱さだとか、甘えから始まるのかな、と思っていたけど、自分じゃどうにもならない時もあるみたいで中々抜け出せなくなるんだな。特定の場所にいくだけで動悸がしたりもどしたり、自分の事をクズだと思って死にたくなってしまう。
弱くなるのは簡単というけど、まあ、そうかもしれないけど、私は持ちこたえられませんでした。
先生の前で泣いて森とさやか氏は驚いただろう。
だけど病気というほどではないだろうし、程度が軽くて本当によかった。
コミュニケーションはとれる。あと一回行けば終わるはず。
心配して支えてくれた両親や友達、先輩には頭があがらないな。
これ以上悪い方向にいかないように、自分で立て直していかなきゃいけない。
あっという間に十月だし授業も始まる。陰鬱なのはもういや。
至らないとこはもう十分指摘してもらったのだから、楽しいこと考えよう。
美味しいご飯とお酒が待ってる。